8月 22, 2026

ダイヤモンドは最強に硬い?「硬さ」の2つの意味を知る | 煌めきの研究所 Vol.21

エースマーク(株)Ace-Markによる

「石=硬い」というイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。確かに宝石は硬いものが多いのですが、実は「硬さ」には2つの異なる尺度があり、ダイヤモンドが「最強」とは言い切れない側面もあります。今回はその意外な事実をご紹介します。

硬さの尺度① モース硬度

宝石の硬さを示す代表的な尺度がモース硬度です。これは傷・摩耗に対する抵抗力を表すもので、簡単に言えば「石同士を擦り合わせたとき、どちらに傷がつくか」を1〜10の数値で示したものです。

数値が低い方が傷つきやすく、高い方が傷つきにくい。昭和世代の方がアスファルトに絵を描くときに使った「蝋石(滑石)」がモース硬度1、そしてダイヤモンドが最高値の10です。

モース硬度 代表的な宝石・鉱物
10 ダイヤモンド
9 ルビー・サファイア(コランダム)
8 トパーズ・スピネル
7.5〜8 エメラルド・アクアマリン
7 水晶(クォーツ)
1 滑石(タルク)

豆知識:モース硬度は等間隔ではありません。ダイヤモンド(10)とコランダム(9)の実際の硬さの差は、数値以上に大きく、約140倍もの差があると言われています。

硬さの尺度② 靭性(じんせい)

もうひとつの尺度が靭性です。これは割れや欠けに対する抵抗力、つまり「粘り強さ・破壊されにくさ」を表します。

靭性においては、翡翠・ルビー・サファイアがダイヤモンドより上位とされています。つまり、モース硬度では最強のダイヤモンドも、靭性では必ずしもトップではないのです。

ダイヤモンドの「弱点」——劈開(へきかい)

ダイヤモンドには劈開と呼ばれる性質があります。分子構造上、一定の方向に強い衝撃を受けると割れてしまうのです。ダイヤモンドをテーブルに置き、キューレット(底部の尖った部分)をハンマーで叩くと、驚くほど簡単に割れます。

ダイヤモンドには4方向の完全劈開があり、熟練のカッターはこの「弱点」を逆手に取り、劈開面に沿って原石を割ることで美しいカットを生み出します。弱点を知ることで、初めて最高の輝きが引き出せるのです。

ジュエリー加工とケアへの応用

プラチナ・ゴールド・シルバーで宝石を加工する際、職人はモース硬度と靭性の両方を考慮することでダメージリスクを軽減し、より安全に仕立てることができます。

これはジュエリーをご愛用いただく皆さまにとっても大切な知識です。石の特性を知ることで、日常のケアに活かせます。

  • 硬度の異なる宝石を同じポーチや引き出しに入れない(硬い石が柔らかい石を傷つける)
  • ダイヤモンドリングを重ねてつけない(互いに傷つく場合がある)
  • スポーツや家事など衝撃が加わる場面では外す(劈開による破損を防ぐ)

Arte Rougeでは、石それぞれの硬度・靭性・劈開の特性を熟知した上でジュエリーに仕立てています。大切な宝石を長く美しく愛用していただくために、ご不明な点はいつでもお気軽にご相談ください。

次号もどうぞお楽しみに。


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