宝石だけじゃない。ダイヤモンドの"もうひとつの顔"| 煌めきの研究所 Vol.18
硬さゆえに"崇められた"石
人類が天然ダイヤモンドを発見した頃、人々はその硬さに驚き、この石を神聖なものとして崇めていました。硬すぎて加工すらできなかった時代、ダイヤモンドは「傷つけられない=永遠」の象徴でもあったのです。
富の広がりとともに、ジュエリーへ
18世紀半ば、イギリスで起こった産業革命は、貴族だけでなくより多くの人々に富をもたらしました。その結果、ジュエリーを身につける人口が一気に増え、ルビーやサファイア、そしてダイヤモンドを使った宝飾品が盛んに作られるようになります。ここから、ダイヤモンドは「一部の特権階級のもの」から「憧れの象徴」へと少しずつ姿を変えていきました。
20世紀、ダイヤモンドは"人工的に作れる"時代へ
大きな転機が訪れたのは20世紀半ばのことです。アメリカのGE社が、高温高圧という手法でついに合成ダイヤモンドの製造に成功しました。これ以降、合成ダイヤモンドは宝飾品としてではなく、様々な産業の現場で活躍する存在へと進化していきます。
ダイヤモンドの"素顔"をおさらい
美しさの裏側には、実はこんな性質が隠れています。
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 硬い | モース硬度で最高ランク |
| 絶縁体 | 電気をほとんど通さない |
| 熱伝導性が高い | 熱を伝えるスピードが非常に速い |
| 親油性 | 表面に油分を吸着しやすい |
この「硬さ・絶縁性・熱伝導性・親油性」という組み合わせこそが、ダイヤモンドを単なる宝石以上の存在にしている理由です。
天然から合成へ。産業界の大きな流れ
20世紀後半以降、これらの特性を活かしたダイヤモンドは、切削工具や研磨材をはじめ、数々の産業機械に応用されるようになりました。しかし天然ダイヤモンドには膨大な採掘コストという壁があります。そこで、よりコストを抑えられる合成ダイヤモンドの製造へと大きく舵が切られ、この流れは今日まで続いています。
(ここでいう合成ダイヤモンドは、あくまで工業用途のものを指し、ジュエリー用の天然石とは異なる存在です。)
次世代産業の主役として
現在、アメリカ、中国、ロシア、日本が、この工業用合成ダイヤモンドの一大生産地となっています。そしてその用途は、半導体、医療、宇宙開発といった、これからの時代を支える戦略的産業の中核にまで広がりつつあります。
硬く、美しく、そして役に立つ。ダイヤモンドが何千年もの間、人々を惹きつけて離さない理由は、案外こんなところにあるのかもしれません。
次号もどうぞお楽しみに。
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